「なぜウソつくの?」|ギャンブル依存症者の気持ちと対応策
「もうギャンブルしないって言ってたのに...。どうしてウソつくの?」
「『オレは借金してない』っていうんです。でもホントは友達からお金を借りていて...。」
皆さんの中にこのようなお悩みを抱えた人はいませんか?
ギャンブル依存症は精神疾患の1つです。
ギャンブル依存症の当事者は「やめなきゃ」と思いながらも、やめることができず結果的にウソをついてしまうことがあります。
また、何をしていても「ギャンブルをしたい」気持ちが抑えられなくなり、ギャンブルのためにウソをついてしまうケースもあります。
この記事では「ギャンブル依存症当事者の気持ち」と「当事者にできる対応策」をお伝えします。
目次
1. ギャンブル依存症の人はなぜ嘘つくの?
ギャンブル依存症は、「金銭的な問題や社会的な問題を抱えてもギャンブルをやめられずに続けてしまう状態」のことを指します。
具体的には、ギャンブルのために借金をしたり、ギャンブルを続けるために、会社を休む、学校を欠席するなどし、社会的に何らかの不具合を生じている状態をいいます。
ギャンブル依存症になるとギャンブルを抑えることが困難になります。
そのため、当事者本人だけでなく家族や周囲にも大きな影響を与える障害といえます。
ギャンブル依存症はあくまで精神疾患の1つです。
従って、本人の意志の弱さによるものや怠けによってギャンブル行為が続くわけではありません。
ギャンブル依存の自己治癒はほぼないため、克服するために第三者(病院や依存症回復施設)と連携する必要があります。
さて、それではなぜギャンブル依存症者はウソをつくのでしょうか?
以下では、実際に弊社に相談に来て頂いた方々のお話を元にご紹介させていただきます。
①その場しのぎのウソ
「借金なんてするわけないじゃないか...。」
「自分のお金だけでやりくりしてるんだ。」
「ギャンブルはしていない!!」
上記のようなことを訴えていても、本当はギャンブルをしていたり、借金をしている場合があります。
こうしたウソをつく理由として、正直にギャンブルがやめられないことを伝えると、
「叱られたり」「非難されたり」「見放されたり」
そうしたことを恐れているからだと思われます。
②言い逃れのためのウソ
「上司に叱られて、イライラしたから『憂さ晴らし』のためにギャンブルをしたんだ」ともっともらしいことを言っていても、
本当は自分が「ギャンブルをやりたい」という気持ちを抑えられなかった
というケースもあるでしょう。
このような口実をみつけてギャンブルをする自分を正当化しようとします。
周囲に「ギャンブルやめないで、甘えてる」などと非難されないようにするための言い逃れのためにウソをつく場合もあるでしょう。
③約束を守れなかったが故のウソ
「もう借金なんてしない。」
「2度とギャンブルはしない。」
このように周囲に約束し、ギャンブルなしの生活をがんばって送ろうとする人もいます。
しかし、ギャンブル依存症当事者は、何かのきっかけで禁断症状が生じる可能性があります。
「ギャンブルをやりたい」という衝動が抑えられず、ついギャンブルに手を出してしまうのです。
2. ギャンブル依存症当事者にできる4つのこと
ウソをつくギャンブル依存症者に対して、周囲の人たちができることはなんでしょうか?
①ギャンブル依存症者のウソは病気のせいだと理解する
ギャンブル依存症は精神疾患の1つです。
そのため、本人の性格や甘えというより、「ギャンブルを脅迫的にやりたいと思ってしまう病気」のため、ウソをついてしまうことがあります。
本人のやっている行為やウソをつき続けることに周囲が傷ついたり、攻撃するのではなく、病気なのだと割り切ることも必要かもしれません。
②ウソを過度に責めない
ギャンブル依存症当事者は、治療をはじめる前も、あるいは治療中も、ウソをついてしまう場面があるかもしれません。
「ギャンブルは今日で最後にするから」
「今まで負けてた分を取り返したらやめるから」
そんなことを言ってもギャンブルをやめられないかもしれません。
しかし、それを過度に責めるのでは、ギャンブル依存症当事者のストレスがたまり、それが引き金でギャンブルを再開してしまう可能性があります。
過度に責めるのではなく、ウソをつかれた周囲者は「私はあなたにウソをつかれたことが悲しいです」と自分の気持ちを伝えてみてください。
③ウソが出ない会話を心掛ける
様々な理由から、ギャンブル依存症当事者に「今日はどこに行ってたの?」と聞いてしまう場合があるかもしれません。
しかし、それはギャンブル依存症当事者を追い詰めてしまうことがあります。
本当はギャンブルをしていたのに、「今日は同僚と飲みに行っていたんだ」などとうそをつかせるきっかけを与えてしまうかもしれません。
ギャンブル依存症当事者も、質問したその人を悲しませたくない、失望させたくない思いでウソをつく可能性もあります。
そして、ウソをつく方もつかれる方も、双方が傷つく可能性があります。
ギャンブル依存症当事者がウソをつきそうな内容の質問はせずに関わってみてください。
その関わりの中で、ギャンブル依存症当事者が少しずつ変わっていく場合があります。
④ギャンブル依存症者の家族であるあなたもウソをつかない
「ギャンブルをやめないなら、離婚するから。」
「パチンコをやり続けるなら、私はストレスで死んでしまいます。」
ギャンブル依存症当事者のそばにいるあなたは思わずこのような言葉を言ってしまうかもしれません。
しかしその後、あなたはどうしましたか?
ギャンブル依存症当事者に自分の気持ちを伝えたいのはよく分かりますが、これらの言葉を言ったとしても状況が良くなる見込みは高くありません。
なぜなら、ギャンブル依存症は本人の意思でコントロールできない病気だからです。
あなたが「離婚」を口にしても、実行しないと分かると、かえって彼らのギャンブル行為をエスカレートさせてしまう可能性も考えられます。
どんなに当事者の行動が許せなくても、約束できない約束はしないでください。
とはいえ、ギャンブル依存症の家族のあなたは、ストレスを過度にためているかもしれません。
そうした時は、同じ気持ちを共有できる自助グループや施設の『家族会』に参加してみるのも1つの手です。
つらい時は一人で抱え込まず、第三者を頼ってください。
3. まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、「ギャンブル依存症当事者の気持ち」と「彼らがついてしまうウソへの対応方法」についてお伝えしていきました。
これまでの内容をまとめていきます。
- ①ギャンブル依存症とは、金銭的な問題や社会的な問題を抱えてもギャンブルをやめられずに続けてしまう状態で精神疾患の1つです。
- ②ギャンブル依存症になると様々な理由でウソをつく可能性があります。
- ③ギャンブル依存症当事者がウソをついたとき、ウソをついたことを責めずに依存症当事者と関わってみてください。
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参考:
・西川京子 (2013) 『知っていますか? ギャンブル依存 1問1答』解放出版社
・大谷信盛 (2015)ギャンブル依存者のタイプ分類と公共政策 ─グループ属性から効果的な依存問題対策を導く試み─ 大阪商業大学アミューズメント産業研究所紀要 第17号
・高橋英彦・鶴身孝介・藤本淳(2017) ギャンブル依存症の神経メカニズム Translational Psychiatry
ライター名: 木原彩